2023年度の業績について

 2023年度の当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および3カ年の「中期経営計画2025」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、ライフサイエンス産業のインフラを担うグローバルプラットフォーマーを目指すための取り組みを推進しました。

 2023年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の法令上の位置づけの変更による検査関連製品の販売減少、海外経済不況の影響を受けたライフサイエンス研究市場の低迷等により、43,505百万円(前期比44.3%減)と、減収となりました。売上原価は、売上高の減収等により16,597百万円(同50.3%減)となりましたので売上総利益は、26,908百万円(同39.9%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費等が減少し23,905百万円(同1.3%減)となり、営業利益は、3,003百万円(同85.4%減)と減益となりました。

 営業利益の減益にともない、経常利益は、3,405百万円(同83.5%減)、税金等調整前当期純利益は、2,853百万円(同86.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,480百万円(同90.8%減)となりました。

今後の見通しについて

 2024年度については、売上高48,900百万円、営業利益5,000百万円、経常利益5,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,400百万円と、前期比で増収増益を予想しています。

 上半期については、売上高20,200百万円、営業利益150百万円、経常利益250百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益100百万円と、前年同期比で増収減益を見込んでいます。なお、売上高の進捗に偏りがあるため、営業利益予想の進捗の見通しについては、上半期では通期の約3%(第1四半期は営業損失となる見込み)、下半期が同97%を見込んでいます。

 試薬事業については、経済情勢等を背景として世界的にライフサイエンス産業のアクティビティが低下していますが、地域別のグローカル戦略(グローバルで多極的なマーケティング/製造/営業戦略)を進めることにより、研究用/カタログ製品、OEM/カスタム製品ともに増収を見込んでいます。具体的には、日本においては民間検査センターなどへのアプリケーション検査キット、米国においてはRHT(生殖医療技術)分野などのLDT(ラボ開発検査)向けのOEM/カスタム製品、欧州においては遺伝子工学関連のOEM/カスタム製品に注力いたします。中国においては、中国市場向け新製品の開発や価格対応などを進めます。機器事業についても、日本、米国を中心に次世代シングルセル解析装置の新製品などにより増収を見込んでいます。

 受託(CDMO)事業については、先行して投資を進めてきた遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟等を活用し、ベクター製造受託、mRNA関連受託、品質試験受託などの再生医療等製品関連受託の増収を見込むとともに、遺伝子解析/検査関連受託においても、新規メニューのプロテオーム解析、シングルセル解析、空間解析などの受託で増収を見込んでいます。

 遺伝子医療分野では、mRNA関連酵素などのAM製品(製造補助剤)の増収を見込んでおり、全てのカテゴリーにおいて増収となる見通しです。

配当について

 当社は、研究開発活動を積極的に実施していくため内部留保の充実に意を用いつつ、株主の皆様への利益還元についても重要な経営課題と位置づけ、経営成績および財政状態を総合的に勘案して利益還元を実施していくことを基本方針としています。具体的には、連結財務諸表における特別損益を加味せずに算出された想定当期純利益の35%を目途として剰余金の配当を行う方針ですが、資本効率の改善に努めるべく、2023年度の期末配当金については、2023年5月11日の公表の通り1株当たり17円00銭(想定当期純利益の約87%)としました。

 

 投資家の皆様におかれましては、引き続き、当社へのご理解ご支援のほどお願い申し上げます。

2024年5月
代表取締役社長
仲尾 功一