適切なハウスキーピング遺伝子の選び方

正確な解析結果を得るには、その実験系で発現量が変動しないハウスキーピング遺伝子を選んで用いることが重要です。 従来、ハウスキーピング遺伝子としては、GAPDH やβアクチンがよく用いられてきましたが、近年、これらの遺伝子も実験条件によっては変動するケースがあることが報告されています。 1種類のハウスキーピング遺伝子では正確な補正を行うには不十分であり、現在、もっとも信頼性が高いとされている補正方法は、複数のハウスキーピング遺伝子を用いる方法です。 この方法では、いくつかのハウスキーピング遺伝子の発現量を測定し、その中で変動が小さいと思われるものを選択して使用します。最適な補正用遺伝子を選択するソフトウェアも開発されており、ダウンロードして利用できます(geNorm, BestKeeper など)。 マイクロアレイによる発現プロファイルのデータがある場合には、その結果から類推することもできます。

(注意) ハウスキーピング遺伝子や目的遺伝子には、ゲノム上に非常にホモロジーの高い偽遺伝子が点在する可能性があります。 使用されるRNAサンプルにゲノムDNAが混入している場合、バックグラウンドとなる増幅がみられることがありますので、RNAサンプルはゲノムDNAの混入の無い高純度のものをご使用ください。

■参考文献

  • Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes.
  • Vandesompele J, De Preter K, Pattyn F, Poppe B, Van Roy N, De Paepe A, Speleman F.
  • Genome Biol. 2002 Jun 18;3(7):RESEARCH0034. Epub 2002 Jun 18.