実験コンシェルジュ

お問い合わせ例 & 実験プロトコール紹介例

Q1 20 kbの鎖長のターゲットを増幅して、クローニングしたい。
Q2 大腸菌で目的タンパク質を発現し、Hisタグを用いて発現したい。また精製後はタグを切断したい。
Q3 IRESベクターへクローニングするときの注意点はありますか?
Q4 レンチウイルスで蛍光ベクターをHUVECに導入したい。

Q1 20 kbの鎖長のターゲットを増幅して、クローニングしたい。
A1 長鎖のPCRには、Tks Gflex DNA Polymerase(製品コード R060A)またはPrimeSTAR GXL DNA Polymerase(製品コード R050A)を用いると正確な増幅な可能です。これらの酵素で増幅しない場合やより高い増幅効率を求める場合はTaKaRa LA Taq Hot Start Version(製品コード RR042A)をお勧めします。
これらの酵素はすべてヒトゲノムDNA を鋳型とした場合、30 kbまでの増幅が可能です。
Tks Gflex DNA Polymerase(製品コード R060A)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006994
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase(製品コード R050A)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100005215
TaKaRa LA Taq Hot Start Version(製品コード RR002A)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100004329

長鎖のPCR産物(5 kb以上)は、T-Vectorへのクローニングは効率が悪くなりますのでお勧めできません。Mighty Cloning Reagent Set (Blunt End)(製品コード 6027)を用いて、PCR産物の末端平滑化・リン酸化を行って、平滑末端のベクターにクローニングすることをお勧めします。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100004714
また、長鎖のDNAを効率良くライゲーションするための試薬として、TaKaRa DNA Ligation Kit LONG(製品コード 6024)の利用もお勧めします。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100005178
形質転換には、長鎖DNAに適したE. coli HST08 Premium Competent Cells(製品コード 9128)、エレクトロポレーションにはE. col/ii HST08 Premium Electro-Cells(製品コード 9028)をお勧めします。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006111
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006359
Q2 大腸菌で目的タンパク質を発現し、Hisタグを用いて発現したい。また精製後はタグを切断したい。
A2 大腸菌での発現ベクター pCold DNAはpCold I~IV、pCold TF、pCold ProS2、pCold GSTがあり、目的に合わせて最適なベクターを選択できます。Hisタグでの精製後、タグを切断したい場合は、pCold I DNA, pCold TF、pCold ProS2、pCold GSTなどをご使用ください。pCold TF、pCold ProS2、pCold GSTはそれぞれ可溶化タグが付いたベクターで、融合タンパク質の可溶性の向上が期待できます。
クローニングサイトに適切な制限酵素サイトが存在しない場合は、In-Fusion Snap Assembly Master Mix、またはIn-Fusion HD Cloning Kit を用いると、簡単・迅速にディレクショナルクローニングが行えるので便利です。In-Fusion Cloningは、ベクターの末端配列に相同な15塩基を、目的遺伝子増幅用プライマーの5'末端に付加し、目的遺伝子をPCR増幅することにより、任意のベクターの任意の位置にディレクショナルクローニングが可能なシステムです。
In-Fusion Snap Assembly Master Mix
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009465
In-Fusion HD Cloning Kit
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006645
In-Fusion Cloningで目的遺伝子をPCR増幅する際は、正確性の高いPrimeSTAR Max DNA Polymerse(製品コード R045A)の使用をお勧めします。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100005117
また、形質転換には、効率の高いE. coli HST08 Premium Competent Cells(製品コード 9128)、Stellar Competent Cells(製品コード 636763)をご利用ください。
クローニングしたプラスミドで宿主大腸菌を用いて発現を行います。
宿主大腸菌にはTaKaRa Competent Cells BL21(製品コード 9126)をご利用ください。また、BL21株にあらかじめシャペロンプラスミドを導入したChaperone Competent Cells BL21シリーズ(製品コード 9120~9122、9124、9125)も可溶化の促進などに有効です。
培養終了後、Hisタグを利用した融合タンパク質の精製には、TALON Hisタグ融合タンパク精製樹脂、His60 Ni Superflow Resin等の製品をお勧めします。
TALON Hisタグ融合タンパク精製樹脂
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006910
His60 Ni Superflow Resin
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006427
Q3 IRESベクターへクローニングするときの注意点はありますか?
A3 IRESベクターは、目的遺伝子と選択マーカー遺伝子(蛍光タンパク質や薬剤選択マーカー)などをIRES配列を挟んで発現することにより、マーカーの発現により目的タンパク質発現細胞を特定する場合などに有用です。
例えば、pIRES2-AcGFP1 Vector(製品コード 632435)は、IRES配列を介してAcGFP1遺伝子とクローニングサイトに挿入した目的遺伝子が同一のmRNAとして転写され、その後、別々のタンパク質として翻訳されます。したがって、目的遺伝子配列には、開始コドン(ATG)および終始コドンを付加する必要があります。
IRES前のクローニングサイトに挿入する遺伝子の長さは、0.7~1.2 kbが最適です。またIRES配列前のクローニングサイトに翻訳されるORFをクローニングしていない状態では、蛍光タンパク質の発現が低くなり、蛍光顕微鏡による検出が難しい場合があります。
Q4 レンチウイルスで蛍光ベクターを導入したい。
A4 レンチウイルスの作製ですが、pLVSINレンチウイルスベクタープラスミドとLentiviral High Titer Packaging Mixを、TransIT-Lenti Transfection Reagent(またはTransIT-293 Transfection Reagentなど)を用いてLenti-X 293T細胞株に効率よくコトランスフェクションすることで、高力価の組換えレンチウイルス上清が得られます。
下記の製品がご使用いただけます。

●蛍光タンパク質搭載SIN型レンチウイルスベクター
pLVSIN-AcGFP1-C1 Vector(製品コード 6188)など
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006817

●レンチウイルスパッケージングシステム
Lentiviral High Titer Packaging Mix(製品コード 6194)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009132

●レンチウイルス産生用トランスフェクション試薬
TransIT-Lenti Transfection Reagent(製品コード MIR6603)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009240
または、TransIT-293 Transfection Reagent(製品コード MIR2704)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006728

●パッケージング細胞株
Lenti-X 293T Cell Line(製品コード 632180)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006299

作製したレンチウイルスの力価測定には、簡易レンチウイル力価判定試薬であるLenti-X GoStix Plus(製品コード 631280)でおおよそのタイタ―は判定できますが、正確なタイターを測定する場合は、Lenti-X qRT-PCR Titration Kit(製品コード 631235)または、Lenti-X p24 Rapid Titer Kit(製品コード 632200)をお勧めします。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006519
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006181
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006386
力価を測定し、ウイルス力価が低かった場合は、
Lenti-X Concentrator(製品コード 631231)で濃縮することが可能です。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006370

また、細胞への遺伝子導入は、下記のプロトコールをご参照ください。
https://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/6181-6192_j.pdf
pLVSIN ベクターからの組換えレンチウイルスの産生」は上記説明書の15-16ページをご参照ください。