タカラバイオ株式会社は、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座 神谷和作准教授との共同研究により、内耳組織へ高い遺伝子導入効率を示すアデノ随伴ウイルス(AAV)改変体ベクターを開発しました。

 

 近年、AAVベクターは遺伝子治療用ベクターとして種々の疾患に対して使用されており、日本においても眼科領域や中枢神経系領域等においてAAV遺伝子治療法の開発が活発に進められています。

 耳科領域においても、遺伝性難聴等を対象としたAAVベクターを用いた遺伝子治療法の開発が進められていますが、既存のAAVベクターによる内耳器官への遺伝子導入効率は、治療効果を発揮するには充分ではなく、課題とされてきました。

 

 今回、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座 神谷和作准教授との共同研究により、マウス内耳器官に効率よく遺伝子導入が可能なAAV改変体ベクターを開発しました。本ベクターを用いて、マウス内耳蝸牛器官培養組織へ感染させた場合において、難聴に対する遺伝子治療の標的となる内耳細胞に最大80%以上の遺伝子導入が認められ、対照となる既存のAAV2ベクターに比べて10倍以上遺伝子導入効率が高いことが確認されました。

 

 当社では、CDMO事業の一環として、AAVベクターを含む各種ウイルスベクターの製造受託サービス~{(1)}を提供しており、独自に開発した脳や網膜へ遺伝子導入が可能なCereAAV~{TM(2)}の受託製造サービスも行っています~{(3)}。今後もCereAAV™や組織特異的AAVベクターなどの創薬技術開発に注力し、これらの技術を幅広く提供していきます。

 

 本成果は、BioJapan 2023(2023年10月11-13日、パシフィコ横浜、スポンサーセミナーF203)にて発表します。

<関連するニュースリリース、サービス>

(1) 受託サービス

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター作製

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000003&subcatcd=B1001106&unitid=U100007814

レトロウイルスベクター作製

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000003&subcatcd=B1001106&unitid=U100004212

レンチウイルスベクター作製

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000003&subcatcd=B1001106&unitid=U100006654

 

(2) ニュースリリース

遺伝子治療用ベクターCereAAV™、カニクイザル脳への遺伝子導入を確認、さらに遺伝子導入効率の高い改変体を開発(2023年9月11日付)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_23m0911Lueb763gF2rfdb.html

遺伝子治療用ベクターCereAAV™による網膜への高効率な遺伝子導入を確認(2023年5月11日付)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_23m0511ce2Jk5VlonW.html

新規脳指向性遺伝子治療用ベクター“CereAAV™”を開発(2022年4月19日付)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_22m0419ueEW8skpm3b.html

 

(3) ニュースリリース

脳指向性遺伝子治療用ベクター「CereAAV™」の受託製造サービスを開始(2022年7月20日付)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_22m0720xgU87wbLkw9.html

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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資料中の当社による現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決などがありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。