AAVベクター作製をより簡便にする pAAV-ZsGreen1 One-Vector を発売

　タカラバイオ株式会社は、アデノ随伴ウイルス（AAV）ベクター作製に必要な要素を1つに統合した画期的なプラスミド「pAAV-ZsGreen1 One-Vector」 （血清型1、2、5、6、8、9） を、2025年12月3日より発売します。

 

　本製品は、従来のAAVベクター調製(Triple Transfection法~{(注1)})で必要とされていたトランスファープラスミド、Rep/Capプラスミド、アデノウイルスヘルパープラスミドの3種類を1つに統合した設計を採用しています。本製品を使用することで、単一プラスミドだけで宿主細胞にトランスフェクションすることができ、AAVベクターを簡便かつ効率的に作製可能です。

　また、AAVベクターに封入される遺伝子には、CMVプロモーター制御下で発現するZsGreen1遺伝子を配置しているため、ZsGreen1遺伝子発現AAVベクターを迅速に作製することができ、蛍光シグナルにより対象細胞への導入効率を容易に確認できます。さらに、ZsGreen1遺伝子を他の遺伝子に置換することにより、目的遺伝子を搭載したAAVベクターを作製することも可能です。

　本製品は、必要なプラスミド数を削減することで、作業効率の向上、リードタイムの短縮、コスト削減を実現できるだけでなく、性能面においても、Triple Transfection法と比較してベクター産生量が多いという特長を有します。 

 

　当社は、CRDMO~{(注2)}として、独自のCereAAV™シリーズ~{(注3)}をはじめ、各種AAVベクターについて、初期の開発ステージから臨床グレードにも対応した製造受託を展開しています~{(注4)}。さらに、GMP/GCTP~{(注5)}に準拠した各種ウイルスベクターの製造・品質試験を実施し、製造プロセスや試験法の開発からバリデーション、薬事サポートに至るまで、臨床開発をトータルでサポートしています。

 

　当社は、今後も遺伝子治療に関連する基盤技術開発を進め、遺伝子導入用ベクター関連製品の提供やCRDMO受託を通じて、遺伝子治療の開発・社会実装を積極的に支援していきます。

 

 

（注1）  Triple Transfection法

AAVなどのウイルスベクター作製において、3種類のプラスミド（目的遺伝子、Rep/Cap、ヘルパー）を同時に細胞へ導入する方法。標準的手法として広く用いられている。

 

（注2） CRDMO （Contract Research, Development and Manufacturing Organization）

CDMO に”Research”の要素を取り入れることで、遺伝子・細胞治療の開発者のために、より強化された開発から製造までの一連を支援する事業を意味する。

開発の初期段階（Research フェーズ）から、技術力を有する当社が伴走することによって開発者を支援し、遺伝子細胞治療や遺伝子検査等の開発を促進・加速し、未充足の治療領域へ貢献するビジネスモデル。

 

（注3）CereAAV™シリーズ

当社が独自に開発を進める遺伝子治療用AAVベクター。マウス、マーモセットおよびカニクイザルで脳への高い遺伝子導入効率を示す。

ニュースリリース：遺伝子治療用ベクターCereAAV™、カニクイザル脳への遺伝子導入を確認、さらに遺伝子導入効率の高い改変体を開発　（2023年9月11日付）

https://www.takara-bio.co.jp/ja/news/newsr_23m0911crasc.html

 

（注4）ウイルスベクター受託製造

受託サービス　アデノ随伴ウイルス（AAV）ベクター作製

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000003&subcatcd=B1001106&unitid=U100007814

 

（注5）GMP/GCTP

医薬品や再生医療等製品の製造管理基準

 

 

【製品概要】