タカラバイオ株式会社は、レンチウイルスベクター~{(注1)}~{(注2)}のプロウイルスコピー数を定量する研究用試薬「LVpro™ Provirus qPCR Quantitation Kit」(以下、本製品)を2025年7月15日より発売します。

 

 レンチウイルスベクターは、自己増殖能欠損型ウイルスベクターです。レンチウイルスベクターを使用することで、リンパ球、造血幹細胞や神経細胞など、ほぼ全ての哺乳類細胞に遺伝子を導入することが可能です。遺伝子導入後は、細胞のゲノムに組み込まれ「プロウイルス~{(注3)}」として継続的に導入遺伝子が発現するため、遺伝子治療用ベクターとして広く利用されています。また、遺伝子機能解析などの基礎研究分野においても有用なツールとして広く使われています。

 

 本製品は、レンチウイルスベクターにより遺伝子導入した細胞のプロウイルスコピー数をqPCR(プローブ法)により高精度に定量できるキットです。レンチウイルスベクターを用いたキメラ抗原受容体~{(注4)}(CAR)遺伝子導入T細胞など、遺伝子治療に用いられる遺伝子導入細胞にどれだけ遺伝子が導入できているかを確認する品質管理での使用が想定されます。例えば、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)は品質の確認のため、CAR遺伝子導入T細胞に組み込まれたウイルスベクターのコピー数の測定を推奨しており、正確な定量が求められています。

 

 <本製品の特長>

・プロウイルスコピー数の高精度な定量が可能

・広範なレンチウイルスベクターに対応

 

 当社は、今後も遺伝子治療に関する基盤技術開発を積極的に推進し、遺伝子導入用ベクター関連製品の提供やCRDMO~{(注5)}受託を通じて、製薬企業やバイオベンチャーの遺伝子治療の開発、社会実装を積極的に支援していきます。

 

【製品概要】 

製品名

製品コード

容量

希望小売価格(税別)

LVpro™ Provirus qPCR Quantitation Kit

6196

100回

100,000円

【製品画像】

LVpro™ Provirus qPCR Quantitation Kit

【製品情報サイト】

https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009779

 

【製品に関するお問い合せ先】

テクニカルサポートライン

オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

電話: 077-565-6999(平日9時-17時)

 

 

<語句説明>

(注1)ウイルスベクター

ウイルスが細胞などに感染した際に、自己の遺伝子を細胞などに導入する性質を利用して、人工的に目的遺伝子を導入するように改良した分子です。病原性などに関する遺伝子を除去し安全性を確保しています。

(注2)レンチウイルスベクター

レンチウイルスは、一本鎖RNAをゲノムとするレトロウイルス科レンチウイルス亜科のウイルスで、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus; HIV)やサル免疫不全ウイルス(Simian Immunodeficiency Virus; SIV)などが挙げられます。レトロウイルスと同様、RNAゲノムから合成されたDNAが染色体に組み込まれますが、細胞分裂を行っていない静止期の細胞の染色体にも組み込むことができる点がレンチウイルスの大きな特徴です。遺伝子治療用レンチウイルスベクターとして、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を改変し、自己増殖能を除去したものが広く利用されています。

(注3)プロウイルス

ウイルスの遺伝子が宿主細胞のゲノムDNAに組み込まれた状態を指します。レンチウイルスベクターでは、遺伝子導入後にベクターに搭載された遺伝情報が宿主ゲノムに組み込まれることで、長期的な遺伝子発現が可能になります。

(注4)キメラ抗原受容体(CAR)

がん抗原を特異的に認識する抗体由来の部分と、T細胞受容体の細胞内ドメインを結合させて人工的に作製された、がん抗原を特異的に認識できる受容体です。

(注5)CRDMO(Contract Research, Development and Manufacturing Organization)

CDMO に”Research”の要素を取り入れることで、遺伝子・細胞治療の開発者のために、より強化された開発から製造までの一連を支援する事業を意味します。開発の初期段階(Research フェーズ)から、技術力を有する当社が伴走することによって開発者を支援し、遺伝子細胞治療や遺伝子検査等の開発を促進・加速し、未充足の治療領域へ貢献するビジネスモデルです。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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