タカラバイオ株式会社は、臨床応用を想定し安全性を高めた研究用のレンチウイルスベクター~{(注1)(注2)}プラスミド製品である「pLVproシリーズ」に、プロモーターを搭載しベクター配列を最適化したレンチウイルスベクタープラスミド「pLVpro2-Kmシリーズ」を追加し、2025年1月24日より発売します。
レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を改変した自己増殖能欠損型ウイルスベクターです。レンチウイルスベクターの使用により、リンパ球、造血幹細胞や神経細胞など、ほぼ全ての哺乳類細胞に遺伝子を導入することができます。レンチウイルスベクターを用いて作製した遺伝子導入細胞は、導入した遺伝子が継続的に発現し、機能することから、遺伝子治療用ベクターとして広く利用されています。また、遺伝子機能解析などの基礎研究分野でも、有用な実験ツールとして使われています。
今回発売する「pLVpro2-Kmシリーズ」では、目的細胞に応じて選択できる4種類のプロモーター(MND、EF1α、EFS、MSCV)を搭載したカナマイシン耐性レンチウイルスベクタープラスミドにプロモーターレスを加え5種をラインアップしました。目的とする細胞の種類によって最適なプロモーターは異なるため、遺伝子発現を指標として、より最適なベクターを選択できます。
また、レンチウイルスベクター内のデザインについても、HIV-1由来配列をさらに削減するなど最適化しました。これにより安全性や遺伝子発現、ウイルス力価を高めています。
当社は、本製品の発売により、将来の臨床応用を想定した基礎研究や遺伝子治療研究用試薬のラインアップの拡充を図ります。
また、CRDMO~{(注3)}として本製品を活用した受託メニューを展開し、製薬企業等による遺伝子治療薬などの再生医療等製品の開発を積極的にサポートします。
<本製品の特長>
・HIV-1 tat~{(注4)}非依存性の第三世代レンチウイルスベクター~{(注5)}プラスミド
・臨床応用を想定しカナマイシン耐性遺伝子を搭載
・目的に応じ、プロモーターの選択が可能
・臨床応用を想定し、HIV-1由来配列を極限まで排除し安全性を向上
・高遺伝子発現、高ウイルス力価
【製品概要】 ※ 本製品は研究用試薬です
製品名 |
製品コード |
容量 |
希望小売価格(税別) |
---|
pLVpro2-Promoterless-Km Vector |
6977 |
20μg |
96,000円 |
pLVpro2-MND-Km Vector |
6978 |
20μg |
96,000円 |
pLVpro2-EF1α-Km Vector |
6979 |
20μg |
96,000円 |
pLVpro2-EFS-Km Vector |
6980 |
20μg |
96,000円 |
pLVpro2-MSCV-Km Vector |
6981 |
20μg |
96,000円 |
【製品画像】
【製品に関するお問い合わせ先】
テクニカルサポートライン
オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php
電話:077-565-6999(平日9時-17時)
<語句説明>
(注1)ウイルスベクター
ウイルスが細胞などに感染した際に、自己の遺伝子を細胞などに導入する性質を利用して、人工的に目的遺伝子を導入するように改良した分子。病原性などに関する遺伝子を除去し安全性を確保している。
(注2)レンチウイルスベクター
レンチウイルスは、一本鎖RNAをゲノムとするレトロウイルス科レンチウイルス亜科のウイルスで、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus; HIV)、サル免疫不全ウイルス(Simian Immunodeficiency Virus; SIV)などがあげられる。レトロウイルスと同様、RNAゲノムから合成されたDNAが染色体に組み込まれますが、細胞分裂を行っていない静止期の細胞の染色体にも組み込むことができる点がレンチウイルスの大きな特徴。遺伝子治療用レンチウイルスベクターとして、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を改変し、自己増殖能を奪ったものが広く用いられている。
(注3)CRDMO(Contract Research, Development and Manufacturing Organization)
CDMO に”Research”の要素を取り入れることで、遺伝子・細胞治療の開発者のために、より強化された開発から製造までの一連を支援する事業を意味する。開発の初期段階(Research フェーズ)から、技術力を有する当社が伴走することによって開発者を支援し、遺伝子細胞治療や遺伝子検査等の開発を促進・加速し、未充足の治療領域へ貢献するビジネスモデル。
(注4)tat
レンチウイルスの制御遺伝子の1つで、レンチウイルスゲノムRNAの5’領域に形成される高次構造に結合し、RNAの転写を活性化する。
(注5)第三世代レンチウイルスベクター
レンチウイルスベクター作製時に必要なコンポーネント(gag-pol、rev、エンベロープタンパク質)をそれぞれ独立のプラスミドから発現させ、HIV-1由来tatの発現なしに作製したレンチウイルスベクター。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
- ニュースリリースに記載された情報は発表日現在のものです。最新の情報と異なることがありますのでご了承ください。
- 製品の画像はイメージです。また、製品の仕様・価格、サービス内容、お問い合わせ先などの情報は、予告なしに変更することがありますので、あらかじめご了承ください。
- 資料中の当社による現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものです。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決などがありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。