タカラバイオ株式会社は、ドイツのバイオインフォマティックス企業Molecular Health GmbHと、同社が開発・販売するMH Guide/Mendel(以下、本ソフトウェア)の利用ライセンス契約を締結しました。これにより、本ソフトウェアと当社ゲノム解析サービスを組み合わせた疾患研究をサポートする「疾患ゲノム変異アノテーション~{(注1)}受託」(本サービス)を開始しました。

 

 ゲノム解析の進歩により、遺伝性の難病~{(注2)}の早期診断や治療法の解明にゲノム情報を用いることが期待されています。一方で、1人の患者のゲノム解析から得られる遺伝子変異データ~{(注3)}は膨大であり、その中から疾患に関連する遺伝子変異の情報を精度高く絞り込むためには、多くのデータベースを統合的に駆使する必要があります。

 

 本サービスは、当社のゲノム解析サービスから得られた遺伝子配列情報をもとに、本ソフトウェアによりキュレーション~{(注4)}された疾患と変異情報をまとめたデータベース~{(注5)}を参照し、患者の遺伝子変異データから疾患原因となる遺伝子変異情報をACMGガイドライン~{(注6)}に則って自動的に絞り込みます。これにより膨大な遺伝子変異データから正確かつ効率よく重要な遺伝子変異情報を絞り込み、難病分野等での研究を迅速に進めることが可能になります。

 

<本サービスの特長>

・ACMGガイドラインに則った変異データの絞り込みが可能(マニュアル操作も可能)

・キュレーションされたデータベースを参照可能

・難病分野のほか既知遺伝子変異情報の絞り込みも可能

・統合レポートとして出力可能

 

 当社は本ソフトウェアを利用した遺伝子変異解析サービスにより、臨床的に意義のあるゲノム診断解析を提供します。今後もゲノム研究をサポートする革新的なサービスを展開していきます。

※本サービスは研究用です。治療および診断目的に使用することはできません。

【本サービスの詳細】

ヒト全ゲノムシーケンス解析/ヒトエクソーム解析

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100006879

 

【お問い合わせウェブサイト】

各種受託サービスお問い合わせ

https://www.takara-bio.co.jp/research/support/jutaku/index.php

 

【Molecular Health社の概要】

ビッグデータの収集、キュレーション、統合、分析と、それらを人工知能、機械学習の技術と組み合わせることを強みとするドイツのデータサイエンス企業。これらの技術を元に開発されたDatomeシステムは、診断や治療方針決定の改善や、創薬・医薬品開発・臨床試験の最適化・医薬品の差別化・ポジショニングの支援を通してプレシジョンメディシンを推進している。

会社URL:https://www.molecularhealth.com/

【語句説明】

(注1)アノテーション

NGS(次世代シーケンサー)などによる解析で得られた個々のゲノム変異に対して、疾患情報などの各種データベースの情報を注釈すること。NGSによって得られるゲノム変異データは膨大であるため、付与されたアノテーション情報をもとに変異を評価することが多い。

 

(注2)難病

発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病。ゲノムに異常が起こることが疾患の原因になることが多いことから、ゲノム解析による成果が期待されている。

 

(注3)変異データ

患者のゲノム情報をNGSで解析し、一般的なヒトゲノム配列との変化を調べた解析データのことを指す。個人によってゲノム情報は異なるため、疾患に関連する変異だけではなく膨大な変異情報が含まれている。

 

(注4)キュレーション

複数のデータベースを統合したり、人の手によって情報の正確性を検証すること。

ゲノム変異に関するデータベースは数多く存在するため、それらの情報を統合して利用することが重要。また、各種データベースの情報は情報が古かったり、正確ではない場合があるため、十分に検証することも重要となる。

 

(注5)疾患と変異情報をまとめたデータベース

遺伝子変異とその変異に対する疾患関連情報がまとめられたもの。

対象とする疾患や症例数の規模、またそれらを管理する団体などによってデータベースは数多く存在するため、それらから必要な情報を選抜し統合して利用する必要がある。

 

(注6)ACMGガイドライン

米国臨床遺伝・ゲノム学会(American College of Medical Genetics and Genomics:ACMG)と分子病理学会(Association for Molecular Pathology:AMP)がまとめた世界標準の臨床遺伝子診断ガイドライン。個々の変異に対して、病的 (pathogenic)変異か良性 (benign)変異かの判断基準やその重要性の基準が定められている。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

当資料取り扱い上の注意点
資料中の当社による現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決などがありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。