タカラバイオ株式会社は、次世代型キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子治療薬(開発コード:TBI-2001)の臨床試験をカナダにおいて進めるなど、CAR遺伝子治療治験製品製造の豊富な経験を活用し、安全性評価に関する品質試験法などの開発を行っています。この一環として、新たに下記のレトロウイルスベクター溶液中に含まれる凝集体量の定量法、ならびにウイルス遺伝子断片残留試験を開発しました。

 

1.レトロウイルス凝集体*定量法の開発

遺伝子治療薬の製造に使用するレトロウイルスベクターの製造では、種々の要因により凝集体が形成されます。凝集体は、ベクターの力価低下や生体内での免疫原性の原因になる可能性があるため、その形成を把握する必要があります。

当社では、複数の手法(サイズ排除クロマトグラフィー、超遠心分析、フローイメージング分析)を用いた解析により、凝集体の定量法を新たに確立しました。

 

2.qPCR法による残留遺伝子断片の定量法を確立

レトロウイルスベクター溶液中に残留するベクター産生細胞由来のウイルス複製に関与する遺伝子断片の、qPCR法による定量法を確立しました。

 

 このたび開発したこれらの品質試験法は、レトロウイルスベクターの安全性評価や特性解析において有用であり、当社ではCDMOサービスにおけるメニュー化を進めています。本成果は、第29回日本遺伝子細胞治療学会学術集会(2023年9月11-13日 大阪国際会議場 演題番号O7-2)にて発表します。

 

*レトロウイルス凝集体

複数個のレトロウイルスが、その表面にあるタンパク質等の成分を介して会合し、集合体を形成しているもの。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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