タカラバイオ株式会社は、本社地区(滋賀県草津市)の遺伝子・細胞プロセッシングセンター1号棟および2号棟において、(1)遺伝子治療薬などの再生医療等製品やワクチンなど、多様なモダリティ~{(注1)}に柔軟に対応可能な製造施設、(2)PCR検査試薬を含む重要試薬の国内サプライチェーン整備に向けた製造施設の実装化を進めています。

 特に、遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟は、2020年の稼働時に全体の約1/3を、将来の多様なニーズに機動的に対応可能な拡張エリアとしましたが、上記(1)、(2)の方針に基づき、完全実装化の内容を決定しました。今後、整備が完了した施設から順次稼働し、2023年春頃までには、当初の計画を繰り上げて完全に稼働する予定です。

 

 

(1)多様なモダリティへの対応

 バイオテクノロジーの発展とともに多様なモダリティの有用性が証明され、製薬企業やバイオベンチャーが早期の商業化を目指して開発を進めています。

 当社は、大塚製薬株式会社と共同開発を進めるNY-ESO-1・siTCR~{®}遺伝子治療薬の商業化に向けた生産準備を進めています。また、新型コロナウイルス感染症予防用ワクチンとしてアンジェス株式会社らが進めるDNAワクチンや、VLP Therapeutics Japan合同会社らが進めるmRNAワクチンの治験薬製造に加え、製薬企業やバイオベンチャーが開発を進める遺伝子治療薬などの再生医療等製品の開発・製造を支援するCDMO~{(注2)}として、生産設備の整備を進めています。

 整備にあたっては自己資金に加え、厚生労働省「ワクチン生産体制等緊急整備事業」の支援を受けています。対象施設は2022年4月に稼働を予定しており、パンデミック時にはワクチン製造を優先し、平時には当社事業などに臨機応変に利用可能(デュアルユース)です。当社は本施設を有効に活用してまいります。

区分

モダリティ(治療手段)

DNA

DNAワクチン、遺伝子治療薬、ウイルスベクター原材料

RNA

mRNAワクチン、遺伝子治療薬

タンパク質

機能タンパク質:遺伝子導入剤(レトロネクチン)

酵素:診断薬、ワクチン、遺伝子治療薬原材料

抗体:細胞加工原材料

ウイルスベクター

遺伝子治療薬、細胞加工用原材料、ワクチン

細胞

がん免疫治療薬、再生医療、遺伝子治療薬

区分

設備

DNA・RNA

タンパク質

25Lロッキング式振とう培養器(2台)、200Lシングルユース培養槽(3台)、

90L・2000L微生物培養槽(各2台)~{※1}

連続遠心分離機(2台)~{※1}、大型精製装置(6台)~{※1}、中型精製装置(3台)

ウイルスベクター

浮遊培養:

シングルユース培養槽、200L培養槽(2台)~{※2}

2000L培養槽(1台)~{※2}、25Lロッキング式振とう培養器(4台)

接着培養:

CO2インキュベーター(27台)、

シングルユース培養槽(固定床システム)(1台)

中型精製装置(4台)

細胞

製造室(14室)~{※3}、閉鎖系自動培養調整装置

CO2インキュベーター(40台)、安全キャビネット(31台)

その他

自動充填装置(2万バイアル/日、3千バイアル/日)(各1台)

※1 厚生労働省「ワクチン生産体制等緊急整備事業」対象設備

※2 2022年中に200L培養槽の1台、2000L培養槽はそれぞれ追加予定

※3 11室が稼働中 2023年中に3室を追加拡張 その他、遺伝子・細胞プロセッシングセンターLIC分室(神奈川県川崎市内)で3室稼働中

 

【主要設備】

 

 

 

(2)PCR検出試薬や試薬類のサプライチェーン整備

 遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟の拡張エリアの一部(約2,400㎡)に、新型コロナウイルスPCR検査試薬(体外診断用医薬品を含む)や重要試薬などの製造・保管・出荷用に、培養装置・タンパク質精製装置・自動梱包装置など一連の設備の整備を完了し、2021年10月より業務を開始しました。施設整備は、経済産業省「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」に採択されており、これを活用します。

 整備後の製造能力は、PCR検査に換算して、最大800万反応/月となり、パンデミック時のPCR検査など、試薬類の国内サプライチェーンの確保に対応可能です。

【主要設備】

 

 

【語句説明】

 

(注1)モダリティ

治療手段のことです。初期の医薬品では低分子化合物が主流でしたが、技術の進歩により現在では遺伝子や細胞、抗体などの生体成分を用いた医薬品も登場しています。

 

(注2)CDMO

製薬企業などから医薬品の製法開発から製造までの工程を受託する事業のことです。

当社では特に、遺伝子治療薬などの再生医療等製品に注力しています。

 

 

 

【関連するニュースリリース】

 

アンジェス株式会社が採択された厚生労働省「ワクチン生産体制等緊急整備事業」へのタカラバイオ株式会社の参画について

(2020年8月7日)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_2014365k238m7014115_200807.html

 

「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」採択について

(2020年11月24日)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_2014365k238m7014115_20201124.html

 

再生医療等製品の研究・製造施設(新棟)の稼働について

(2020年1月21日)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_129417t662l17p35179_210120.html

 

 

 

 

【タカラバイオ(本社地区)】

                  1    遺伝子・細胞プロセッシングセンター1号棟 (2014年10月稼働) 床面積   6,700㎡
                  2    遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟 (2020年 1月稼働) 床面積  14,500㎡
                  3    本館棟 (2015年8月稼働)
 

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970