タカラバイオ株式会社は、シングルセル解析システムICELL8®の新製品「SMARTer™ ICELL8® cx 」の販売を開始します。

 

 生命科学の普及とともに、急速に遺伝子解析のニーズが高まっています。従来、技術的制約から、多くの解析では、組織片や細胞集団を解析の出発材料としていましたが、近年は脳やがんのような多くの細胞種から成る複雑な組織やiPS細胞から作製される再生医療用の細胞などの研究が盛んになっています。これらの細胞の解析では、より正確なデータを得るために組織や細胞群を、いったんシングルセル(1細胞)に分離、取得した後に、次世代シーケンサー等を使用した遺伝子解析を行うことが求められています。

 

 シングルセル解析システムSMARTer™ ICELL8® cxは、独自のSmartChip™ テクノロジーにより、大量のシングルセルを迅速・効率的に分離し、画像処理により生きた細胞を選択的に取得します。このため類似のシステムと比較して、幅広い細胞サイズ・細胞種に利用可能で、目的外の細胞の混入による解析のバックグランドを低減します。また、従来型のICELL8®システムで、2種のモジュールに分かれていた、マルチサンプルナノディスペンサー(細胞分離)とイメージングステーション(画像処理)を一体化したため、非常にコンパクトになりました。SMARTer™ ICELL8® cx の活用により、シングルセルの取得から次世代シーケンサーによる遺伝子解析まで、一連の解析を円滑に進めることが可能となりました。

 

 当社は、シングルセルや超微量核酸を対象とした遺伝子解析分野の開発・事業化に注力しており、本シングルセル解析システムに関連する売上高として3年後(2021年3月期)に20億円を目指しています。

展示会などで本製品の紹介を行います

主な仕様

SMARTer™ ICELL8®cx

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

シングルセル解析

細胞集団の平均的な解析ではなく、1細胞レベルでゲノム配列やRNA配列解析を行うことです。シングルセル解析には、細胞を1つ1つ分離する技術と、1つの細胞に由来する極微量の遺伝子を解析できる超高感度遺伝子解析技術が要求されます。iPS細胞に代表される再生医療用細胞の品質評価や発がんメカニズムの解明等にシングルセル解析が用いられます。

 

SmartChipテクノロジー

一辺約4センチメートルの薄板に、5,184個の微小なくぼみをもつSmartChip™ と呼ばれる金属チップに、数10ナノリットル(1ミリリットルの10万分の1)の極微量の液体を高速で分注することが出来るナノディスペンス技術から構成されています。SmartChip™ テクノロジーにより、細胞分離、遺伝子増幅、次世代シーケンスライブラリー作製、リアルタイムPCRなど、シングルセル解析のための一連の操作と反応が微量かつ高速に実施できます。
 

次世代シーケンス

従来のサンガー法とは異なる塩基配列に解析法で、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得する塩基配列の解析方法です。次世代シーケンスにより、迅速で低コストでのゲノムの塩基配列解析が可能となり、多くの遺伝子解析の場面で使用されるようになっています。次世代シーケンス法に基づく解析装置を次世代シーケンサーと言います。


※ ICELL8®、SmartChip™、SMARTer™ ICELL8®は当社の商標です。