タカラバイオ株式会社は、米国Active Motif社(以下、「AM社」)と協業契約を締結し、本年7月25日より、共同してDNA-タンパク質相互作用解析サービス(ChIP-Seqサービス)を開始します。
近年、iPS細胞などの幹細胞研究や疾患メカニズム研究などにおいて、エピジェネティクスが新しい研究領域として注目されています。エピジェネティクス研究ではDNAとタンパク質の相互作用による遺伝子や染色体の修飾、構造変化などを主な解析対象としますが、本サービスは、AM社が有するクロマチン免疫沈降(ChIP)技術と当社の次世代シーケンシング(NGS)技術を組み合わせることで精度良く解析が行えることから、エピジェネティクスの研究において有益な解析手段となることが期待されます。
当社は、今後もエピジェネティクス研究における新製品・サービス開発を積極的に進め、バイオ産業支援事業の売上拡大を目指します。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
<参考資料>
【Active Motif社の概要】
会社名 | : | Active Motif Inc. |
設立 | : | 1999年 |
代表者 | : | Joseph M. Fernandez, CEO |
住所 | : | 1914 Palomar Oaks Way, Suite 150, Carlsbad, CA 92008 |
事業内容 | : | エピジェネティクスに関する研究用試薬の開発や製造販売 |
ホームページ | : | http://www.activemotif.com |
【語句説明】
クロマチン免疫沈降(Chromatin Immunoprecipitation, ChIP)
研究対象のタンパク質に対する抗体を用いて、特定のタンパク質が結合するDNA配列とその部位を解析する方法です。細胞を生きたまま解析できるという利点があり、次世代シーケンサーでの解析と組み合わせることにより、転写調節因子、ヒストン修飾やクロマチン構造の解明など、DNA結合タンパクのゲノム上にある結合部位の同定や定量、ヒストンメチル化などのクロマチン構造変化に代表されるエピジェネテッィクスの網羅的な解析が可能です。
エピジェネティクス
塩基配列に依存しない遺伝子発現の多様性を生み出す仕組みのことです。染色体構造、あるいは、ゲノムへの後天的な修飾により遺伝子発現が制御されることに起因します。修飾としては、主にDNA塩基のメチル化とヒストンの化学修飾があります。それぞれの修飾の変化は、発生や分化などの過程において経時的に生じます。分子生物学において一大領域を形成しつつある学問分野です。
次世代シーケンシング(Next-Generation Sequencing, NGS)
従来のサンガー法を基にしたシーケンサーとは異なる原理に基づいた塩基配列解析装置を用いた解析であり、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得することができます。次世代シーケンサーとしては、イルミナ社のHiSeqシステムやMiSeqシステム、ライフテクノロジーズ社のIon PGM、パシフィック・バイオサイエンシズ社のPacBio RSIIなどがあります。当社は、各社次世代シーケンサーを取りそろえ、高速シーケンス解析の受託サービスを提供しています。