当社グループは、米国ブロード研究所(Cambridge, MA, USA)より、同研究所、マサチューセッツ工科大学及びハーバード大学が保有するゲノム編集に関する特許群について、研究分野における全世界の通常実施権を取得しましたので、お知らせいたします。
ゲノム編集は標的遺伝子を破壊もしくは導入する遺伝子操作技術の一種で、近年は基礎研究分野だけでなく再生医療などの応用研究分野においても広く利用が進んでいます。特に、今回、当社グループが実施権を得た、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集技術(米国特許番号8,697,359、他)は、先行して普及している類似技術に比べて操作が簡便で効率的であることから、急速に普及しつつあります。
当社グループは、グループ全体の開発力を結集して、今後大きな成長が見込めるゲノム編集分野の製品・サービスの充実を図り、売上拡大を目指してまいります。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
<参考資料>
【ブロード研究所の概要】
正式名 | : | The Eli and Edythe L. Broad Institute of MIT and Harvard |
設立 | : | 2004年 |
住所 | : | 7 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, USA |
概要 | : | ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で運営する研究施設で、医療や生物に関わる研究がなされています。 |
【語句説明】
ゲノム編集
人工核酸分解酵素を用いたゲノムDNA上の標的遺伝子改変技術をゲノム編集といいます。細胞内で人工核酸分解酵素を用いて標的遺伝子のDNAを切断し、それを細胞自身が修復しようとする働きを利用して標的遺伝子を改変します。Zinc-Finger Nucleases(ZFNs)やTranscription Activator-like Effector Nucleases(TALENs)といった人工核酸分解酵素を利用したゲノム編集技術が広く普及しており、近年、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集技術が新しく開発されました。ゲノム編集は動物、植物、培養細胞などの遺伝子改変が可能なため、遺伝子の機能解析などの研究や医薬品への応用など幅広く利用されています。
CRISPR/Cas9システム
RNAとタンパク質の複合体からなる人工的に作製された核酸分解酵素を用いたゲノム編集技術です。本システムのRNA誘導型核酸分解酵素は、Cas9と呼ばれるDNA切断酵素が、ガイドRNAと呼ばれるRNA分子を介して、これと相補的な塩基配列を有するゲノム配列に誘導されることで、その位置を標的として配列特異的にゲノムDNAの切断が行われます。本システムの利点としては、DNAを切断したい箇所が複数ある場合でも同時に複数のガイドRNAを細胞内に導入することで、一度に切断することが可能なことです。