タカラバイオ株式会社は、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)やヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)などヒト幹細胞用の品質管理試薬を、本年1月20日より発売します。

 

本製品は、ヒト幹細胞培養物から抽出したDNAを検体として、ヒトゲノムDNAとマウスミトコンドリアDNAを各々リアルタイムPCR法により定量することで、短時間で高感度にマウスフィーダー細胞の混入を測定することができる研究用試薬です(特許出願中)。

 

ヒトES細胞やヒトiPS細胞培養においては、細胞の増殖や分化に必要な環境を整えるために、補助的にマウスフィーダー細胞が用いられます。将来の再生医療応用を考えた場合、幹細胞の品質を担保するためにマウス由来の細胞はできるだけ除去する必要があります。しかしながら、残存するマウス細胞を簡便に測定できる製品はこれまで市販されておりませんでした。

 

本製品を用いた実験結果については、今年3月に京都で開催される第13回 日本再生医療学会総会において、京都大学再生医科学研究所 幹細胞研究部門 高橋恒夫先生らと共同で発表する予定です。

 

当社は、iPS細胞やES細胞等の幹細胞研究に関する新製品・サービスの開発に注力しており、本製品を含めた関連製品・サービスを国内外の研究機関や製薬企業向けに販売しています。この度の新製品の発売や今後の新製品・サービス開発により、当社はこの分野での更なるシェア拡大を目指します。

 

【製品概要】

 

製品名 製品コード  容量  希望小売価格
(税込)
Mouse Feeder Cell Quantification Kit RR290 100回 73,500円

 

 

製品の詳細やご購入については、当社営業部(TEL:077-543-7231)までお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

ES細胞

ES(Embryonic Stem:胚性幹)細胞は、初期胚より樹立され、分化多能性を維持したまま半永久的に増殖させることができると言われています。これまで多くの再生医療関連の基礎研究がES細胞を用いて行われています。

 

iPS細胞

体細胞に、数種類の遺伝子を導入することなどによって分化多能性が誘導された細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES(Embryonic Stem)細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。

 

フィーダー細胞

通常のプラスチック培養皿などでは培養が困難な細胞に対して、接着のための足場を提供し、培養環境を整える細胞のことを指します。特にES細胞やiPS細胞の作製と維持においてはマウス由来のフィーダー細胞の存在は重要な条件と考えられています。

 

リアルタイムPCR

従来のPCR法は、サーマルサイクラーという機器で目的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出し、解析を行います。DNA増幅産物の生成の過程を連続して観察できるため、より正確な定量ができます。また電気泳動を行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。