タカラバイオ株式会社は、腹痛や下痢などの病原菌である腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌を同時に、高速で検出する検出試薬「TaKaRa腸管系病原細菌検出キット」を本年9月16日より発売いたします。

 

食中毒の予防を目的として、食品取扱者、学校給食・保育園等の従事者を対象とした検便にて、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌などの腸管系病原細菌のスクリーニング検査が行われています。この検査では、各細菌に適した寒天培地に播種して、増殖の有無を確認する培養検査が行われていますが、培養に手間と時間がかかり、また、寒天培地の廃棄に多くのコストがかかることなどが課題でした。このため、最近では、簡便な遺伝子検査によるスクリーニング検査が普及しつつあります。

 

本検出試薬は、前出の3種の菌の遺伝子をPCR法により増幅し、細菌の有無を同時に検出できる遺伝子検出キットです。自社開発の高速PCR試薬を採用することにより、検便検体からのサンプル調製後、37分※で細菌遺伝子の有無の判定が可能です。簡便で短時間に検出が可能であるため、検便検査を実施する検査会社などで幅広く利用されることが見込まれます。

 

当社は、今後成長が見込まれるPCR法の応用分野での新製品開発に注力しており、バイオ産業支援事業の売上拡大を目指します。

 
※当社リアルタイムPCR装置「Thermal Cycler Dice® Real Time System Ⅲ」を用いた場合の時間

 
 

【製品概要】

 

製品名 容量 製品コード 希望小売価格
(税別)
TaKaRa腸管系病原細菌検出キット 200反応 RR139A 150,000円

 

製品の詳細やご購入については、当社受託開発部製品担当(TEL:077-565-6972)までお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

腸管系病原細菌

腹痛や下痢などの病原菌で、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌の他、チフス菌やセレウス菌などがあります。従業員の健康管理や集団食中毒の予防のために、腸管系病原細菌の保菌者を調べるための検査が広く行われています。

 

腸管出血性大腸菌

血便や激しい腹痛を伴う出血性大腸炎、さらには溶血性尿毒症症候群を引き起こす病原性大腸菌の一群です。菌体表面の構造(O抗原)の違いにより、O157 やO26 など多くの種類(血清型)があります。

 

サルモネラ菌

食中毒の原因菌の一つで、食肉や鶏卵などの畜産物が主な原因食品といわれています。大腸菌や赤痢菌と同じグループに属する細菌で、自然界中に広く分布し、2,500 種類以上もの種類(血清型)が知られています。

 

赤痢菌

食中毒の原因菌の一つで、水、氷、食品などを介して感染します。非常に少ない菌量でも感染することから、食品や箸などを介して感染することもあります。下痢、発熱、腹痛などを引き起こします。A群~D群の4種類あり、A群が最も病原性が強いといわれています。

 

PCR法

Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)法の略称です。温度サイクル装置(サーマルサイクラー)を使用し、微量のDNAを数時間のうちに数百万倍にまで増幅する技術です。