タカラバイオ株式会社は、最新鋭の次世代型DNAシーケンサーおよび超高速データ解析サーバーを当社の遺伝子解析施設であるバイオメディカルセンター(滋賀県草津市)に新たに導入し、ヒトゲノムなどの遺伝子解析能力を大幅に拡充しました。
 
 当社は、従来より、最新鋭の遺伝子解析を独自のノウハウで運用し、アカデミアや民間の研究機関、臨床検査企業向けに遺伝子解析サービスを提供してまいりました。今回導入した米国イルミナ社製“NovaSeq6000”は、これまで利用してきた次世代シーケンサーの6倍のデータを産生し、作業時間を約1/3に短縮します。また、シーケンスデータから遺伝子変異を検出する工程では、米国エディコゲノム社製“DRAGEN Bio-IT Processor”を用いることにより、データ解析時間をこれまでの約1/25に短縮することができます。これらの新設備と当社のゲノム解析分野での長年の経験やノウハウを統合することにより、当社バイオメディカルセンターのゲノム解析能力は、従来比4倍、解析スピードは2倍と飛躍的に高まりました。
 
 ヒトゲノム解析の分野では、近年、アカデミアを中心とした「先端ゲノム研究」に加え、臨床分野では癌組織や血中循環腫瘍細胞の持つゲノム変異情報を次世代シーケンサーによって解析(クリニカルシーケンス)し、その遺伝子情報を診断や治療に利用する「癌ゲノム医療」の動きが急速に高まっています。当社は、これらクリニカルシーケンスに必要となる超微量核酸分析について、独自技術に加え、米国のWaferGen Bio-systems社とRubicon Genomics社を買収するなど、本分野を推進するための技術開発に努めています。
 
 当社は、これらのシーケンス解析サービスの需要に応え、ゲノム医療を含むCDMO事業を拡大することに注力しており、ゲノム解析分野で、新たなサービス、製品開発を通じ事業の拡大を進めてまいります。
 

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

次世代型DNAシーケンサー

従来のサンガー法を基にしたシーケンサーとは異なる原理に基づいた塩基配列解析装置で、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得することができます。大量に取得したデータは、専用の計算機サーバーで目的に応じて処理されます。大量の塩基配列データが取得できるため、ヒトゲノム解析や癌などの疾病の原因解明や診断など多目的に使用される機会が増えています。

ゲノム医療

ゲノムとは、個々の生物の遺伝情報の全体を指します。ゲノムの情報を医療に活用し、効率的で効果的な疾患の診断・治療・予防を行うことをゲノム医療と呼んでおり、特に癌の診断や治療にゲノム情報を利用することを癌ゲノム医療と呼んでいます。

CDMO事業

再生医療等製品などの製品開発支援サービス事業を、当社では、CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業と呼んでいます。遺伝子導入用ベクターの製造や細胞加工、遺伝子解析、安全性試験などの受託サービスなどが含まれます。