ニュースリリース

2008

2008.4.30

レトロネクチン®で活性化した免疫細胞を用いる、がん細胞免疫療法の臨床研究を、中国・天津医科大学・天津市腫瘍病院で開始しました

タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)と中国の天津医科大学・天津市腫瘍病院(学長・病院長:希山;Xi-Shan Hao、Tianjin Cancer Institute & Hospital, Tianjin Medical University)は、当社が開発したレトロネクチン®で活性化したがん細胞免疫療法の臨床研究を本年1月から開始しておりましたが、このほど5名のがん患者(腎臓がん2、甲状腺がん、肝臓がん、肺がん)で治療を実施し、非常に良好な途中経過が報告されました。レトロネクチン®で活性化された免疫細胞によるがん治療で良好な結果が見られたのは世界で初めてです。
現在、4名の患者は活性化された免疫細胞の輸注を2サイクル終了し、1名の患者はすでに3サイクルの輸注を終了しています。5名全員で重大な副作用は認められず、病状が安定しています。なかでも肺がん患者の1名では、2サイクルの輸注を行った段階で、治療前と比較して腫瘍組織が約50%に縮小していることがCTスキャン検査によって示されました。なお、5名の患者に対して、1サイクルで、約4x1010(400億)個の活性化免疫細胞を4日間で2回に分けて輸注しました。
この5名の患者に加えて、さらに15名のがん患者のエントリーを行い、合計20名の患者に対して、レトロネクチン®で活性化した免疫細胞による、がん細胞免疫療法の臨床研究を継続します。これらの結果の詳細は今秋開催される学会で発表する予定です。
天津市腫瘍病院は伝統あるがん病院で、特に乳がんを中心にしたがん治療の中国での主要拠点の一つになっています。天津市腫瘍病院では、既にがん細胞免疫療法に関して10年近くの治療経験を有しています。


日本でも、化学療法とがん細胞免疫療法を組み合わせた、免疫再建療法の臨床研究が、当社の協力のもと、三重大学医学部で開始されており、現在患者のエントリーが始まったところです。
ホームページ: http://www.medic.mie-u.ac.jp/cancervac/index.html


なお、レトロネクチン®拡大培養法を用いたがん細胞免疫療法はすでにアジアの3グループにライセンスするとともに、米国国立がん研究所のローゼンバーグ博士グループと共同研究を行っています。


  1. 当社の産学官連携講座・三重大学医学部(珠玖洋教授グループ):
    食道がん、頭頚部がん、卵巣がん、骨髄腫等の難治性のがんを対象として、レトロネクチン®拡大培養法を用いた「がん免疫再建療法」の臨床研究の患者のエントリーを始めています。


  2. 中国医学科学院がん病院(北京市、病院長:趙平、Dr. Zhao Ping):
    腎がんを対象としたレトロネクチン®拡大培養法を用いたがん細胞免疫療法の臨床開発を共同で進めています。すでに、この中国医学科学院がん病院内に、当社が細胞加工処理施設を開設し、現在がん細胞免疫療法の臨床試験を申請中です。


  3. 韓国グリーンクロス社(Green Cross Corp.):
    韓国においてレトロネクチン®拡大培養法を、がん細胞免疫療法の臨床開発に独占的に使用することを許諾しており、同社が韓国内でがん細胞免疫療法の臨床開発を進めています。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 バイオインダストリー部
       Tel 077-543-7212

当資料取り扱い上の注意点

資料中の当社の現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。



<参考資料>

【語句説明】

レトロネクチン®
レトロネクチン®は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質です。当社はレトロネクチン®に関する日本を含む世界各国における物質特許を保有しています。本タンパク質を用いたレトロウイルスによる遺伝子導入法は、レトロネクチン®法として知られており、いまやレトロウイルスによる遺伝子治療の臨床研究のスタンダードとなっています。そして、当社はレトロネクチン®の新たな機能として、Tリンパ球の培養を増強する効果を発見し、これががん細胞免疫療法に利用できることを示してきました。

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